平成23年10月17日
弁護士 高橋郁夫
この意味で、このシフトを妨害するものとして、「企業文化・従業員文化・人的問題」「法・制度の問題」「技術的問題」「言語の問題」がある。
紛争の両当事者が、真実を支持する証拠を探し、それらを組み立てることによって真実を発見するモデルを考えることができる。しかしながら、真実発見といっても、その過程においては、裁判所の判断において不確実性が存在する。裁判官の個性や民事陪審の判断のぶれは、当事者にとっては、不確実性以外の何ものでもない。
両当事者が、裁判においても経済的合理性のもとに動くとすると、判決までいって得られる経済的利益・勝訴の確率(判決を得たときの期待値)と和解の場合の経済的利益、そしてそれぞれの訴訟コストを控除した額を計算し、最大になる行動をとると整理することができる。
このようなモデルを考えたときに、証拠というのは、どのような意味をもつかというのを考えないといけない。
当事者代理人と訴訟の過程という観点からみるとき、特に日本企業において、以下ようなモデル図を考えることができる。
一方、e−ディスカバリーといえども、それだけで独立した手続というものではなく、大きくみれば、訴訟の一つの手続であるし、また、従来から存在するディスカバリーの一手続であることもある。また、従来の紙の文書に対するディスカバリーのモディファイ・進化・対照型ということもできる。
eディスカバリーが、これだけの存在感を増す前は、デポジションが米国訴訟の特徴をなすものとされていた。
どちらにしても、電子データ、紙、人の記憶などの証拠から、真実を探索していき、その事実関係の解明をすることが、訴訟手続きの目的であるということがいえる。
これは、ここの(ア)情報管理(イ)識別(ウ)保全・収集(エ)処理・レビュー・分析(オ)提出(カ)プレゼンのステップごとに問題が分析されることになる。