ソリシター事務所の構造・収入

1 コスト制度を支えるもの

英国の訴訟コストは、どのような弁護士の執務体制を前提としているか。また、それは、逆に訴訟コストにどのように反映しているか、ここでは、ソリシター事務所の構造を見ていくことにする。なお、以下のデータは、"Ivanhoe Guide to the Legal Profession" edited by Denise Andrews(Charles Letts &co,1993)による。



2 基本構造

  1. ソリシターの事務所は、principalとassistant solicitor、そして、その外のfee-eanerとその外のスタッフからなりたっている。
  2. ここては、 principalというのは、事務所において、仕事における利益を分配される人のことをいい、給料だけのひとではないことをいう。したがって、エクイティパートナーと個人実務家との両方を含む言い方である。
  3. 一方、assistant solicitorというのは、サラリーという形で支払いがなされる人達で、状況は、パートナーと対立するものとして考えられる。
  4. また、fee-eanerというのは、依頼者のために直接に報酬を請求しうるものをいい、ソリシター、legal executives,articled clerksを総称する。この一方で、秘書、管理部門、そのたの援助スタッフは含まれない。
  5. ここで、この人員を比較したのが、表1になる。
size of firm < by No of Principals> No of firms No of pricipals Assistant solicitos Other fee-eaners Other staff Total staff
1 3,064 3,064 946 2,056 8,515 14,581
2〜4 3,503 9,239 2,952 5,919 27,024 45,134
5〜10 1,140 7,625 3,228 5,823 25,381 42,057
11+ 406 9,540 9,739 9,557 37,587 66,423
total 8,113 29,468 16,865 23,355 98,507

なお、1事務所あたり平均の人数を示すと以下のようになる。

size of firm < by No of Principals> No of pricipals Assistant solicitos Other fee-eaners Other staff Total staff
1 1 0.3 0.7 2.8 4.8
2〜4 2.6 0.8 1.7 7.7 12.9
5〜10 6.7 2.8 5.1 22.3 36.9
11+ 23.5 24 23.5 92.6 163.6
total 3.6 2.1 2.9 12.1 20.7


この表を見ると、弁護士一人の事務所も全体の3分の1ほどであり、10人以上の事務所は、非常に少ないことがわかる。また、規模が大きくなれば、プンシパルとアシスタント・ソリシター、他のフィー・アーナーとの人数のバランスが変化し、むしろ、その事務所の規模の大きさは、アシスタント・ソリシターの人数の多さによって支えられていると考えられることになる。


3 人数増大傾向について

size of firm < by No of Principals> No. % No. % % change 91 on 85
1 2617 34 3064 37.8 17
2〜4 3587 46.7 3503 43.2 -2
5〜10 1167 15.2 1140 14 -2
11+ 313 4.1 406 5 30
tatal 7684 100 8113 1200

4 規模の拡大と収入の拡大




  1 2〜4 5〜10 11〜 総計
1988〜89 73 78 89 134 101
1989〜90 78 83 93 153 112
変化% 7 6 4 14 11


5 ソリシターと時間制チャージ


第2 考察

では、上のような資料から、我が国での司法改革に際して、どのような示唆を得ることができるかということがある。

(1)コストについての考察の重要性


(2)コストについて弁護士のはたす役割の重要性


(3)事務所構造とコストの関係