一般個人の債務整理・破産・民事再生等の報酬については、事案として多いので、特別に分かりやすく記載してみました。

平成23年8月 弁護士 高橋郁夫

(1)多重債務についての法的対応

破産申立・民事再生・債務整理の三つの対応がありえます。

不動産を有しているのか、取引経過は、長いのかどうか。浪費・ギャンブル等の問題はないかなどを考慮して、これらの手法について検討することになります。

利息制限法での引き直し計算によって、6-7年間以上取引がある場合には、残債務額がゼロに近くなってしまうこともよくあります。

これらの手法の選択の判断については、法律専門家からのアドバイスをおすすめします。

以下、依頼される上で、一番心配な費用関係についての目安を記してみました。参考にしてみてください。
なお、法律事務所等でのホームページの記載を比較される際には、実費などについても留意して、比較してみることをおすすめします。

(2)破産申立における着手金等

(a)通常の自己破産事件

着手金 成功報酬
22万円 20万円

自己破産を選択するのが妥当であるという判断になった場合、上記着手金が必要になります。

もっとも、日本司法支援センター(法テラス)による法律扶助の制度を利用することも可能ですので、この点についても法律専門家のアドバイスを求めてください。この場合、15万円前後の費用について法テラスが立て替えてくれます。この具体的な金額は、法テラス内の審査会で基準にもとづいて決定されます。

一般的には、法律扶助の要件をみたす相談が多数かと思います。当事務所においても、特段の事情がない場合には、法律扶助での申立をおすすめしています。
この点についての具体的な説明は、法テラス「弁護士・司法書士の費用を立て替えてもらいたい」をご参照ください。

また、当事務所においても、やや手続きが煩瑣になる事件については、法テラスでは、委任を受けることができないと判断されますが、その場合でも着手金については4回以内の分割払いということでも対応しています。

なお、上記着手金以外に実費として3万円がかかります。(法律扶助の場合は、この部分も含めて立て替えられます)

(b)特別事情ある場合の自己破産

着手金 成功報酬
32万円から47万円 30万円

破産事件において、過去に浪費癖があった場合、不動産の売却をした上で、その売却について債権者間の平等な処理を図った上で破産申立をする場合、特定人への貸付などがある場合については、個人破産としても特別の処理が必要になる場合になります。この場合、着手金の増額事由になります。

このような場合には、かかる事情を法律専門家に対して率直に話して、処理方針について検討をした上で見積もりを受けるのをおすすめします。


(3)債務整理事件における着手金等


支払いの態様 着手金 成功報酬
着手金を事前に準備できないとき
(過払い金の回収が確実と考えられるとき)
1社 3万円 回収額の20%(もしくは、減額の10%)
着手金を事前に準備可能なとき 1社 2万5000円 減額の10%


利息制限法での引き直し計算をするときに債務の負担額を劇的に減少することが可能なので、弁護士等が介入して、受任して、取引経過を利息制限法に基づいて引き直し計算して、債務整理をする場合も非常に処理として多いです。

当事務所は、着手金を事前に準備できない場合においても、過払い金の回収が確実である(取引が10年程度経過している、もしくは、既に支払い済みの業者が存在する)場合については、その過払い金から着手金をの支払いに充当するという費用形態を採用しています。

もっとも、この場合、事前に着手金を御準備いただける場合にくらべて、若干報酬等については、割高になっています。問題が発生したら、ご家族等に相談して、弁護士費用については、前向きな費用なので、ご家族等の援助でもって、事前に御準備いただくほうで考えられた方がいいでしょうねということも考えています。



なお、債務整理ですが、当事務所では、法テラスの法律扶助制度における債務整理の費用が、弁護士の事務処理の労苦の現実を反映していないと認識しており、法テラスの利用をしての債務整理について委任を受けておりません。ご理解いただけると幸いです。


(4)民事再生事件における着手金等

一般の民事再生(住宅資金特別条項等の適用がない) 32万円 債務免除額の10%(上限35万円)
複雑な民事再生(住宅資金特別条項等の適用あり等) 42万円から52万円 債務免除額の10%(上限50万円)

債務整理による処理が不可能な場合(利息制限法での引き直し額で計算した債務額が、200万円を越える場合など)については、破産をさけたい事情が存在する場合には、民事再生法での処理が合理的なものになります。

民事再生については、書類の整理、再生計画の作成、金融機関との調整等の作業があるので、一定の弁護士費用がかかることは、了解してもらいたいところです。
特に、住宅資金特別条項を利用する場合については、場合によっては、支払い計画を弁護士が提案しなくてはならない場合もないわけではなく、そのような場合には、複雑な場合として取り扱っています。