英国においてコスト( 費用costs) という概念は、米国や我が国での「( 訴訟) 費用」という概念と異なり、弁護士費用を含むものである点が異なる。また、英国におけるコストの定めは、民事訴訟における当事者の行動の合理的コントロールに役立つようになっているように思われ、非常に重要な役割を果たしているように思われるが、我が国においては今までそのような観点からする手頃な紹介がなかったように思われる。
このコストは、ソリシターの報酬ディスバースメント( 訴訟に関連した費用、具体的には、法廷利用料、バリスターの報酬、証人費用その他) の二つの概念を含むものである。そして、ソリシターの報酬は、時間報酬制(アワリー・チャージ)によってなされる。
2.1 一般原則
英国におけるコスト負担の一般原則は、敗訴者負担主義( follow the event) であり、その額は、裁量によるとされている(最高法院規則オーダー62ルール3)
当事者が受け取るコストは、「タックスド・コスト」とよばれ、裁判所の「タックシング・オフィサー」という裁判官によって認められなければならない(同オーダールール3)。そして、これらの訴訟コスト算定の手続きを「タクスゼーション」という。コスト負担命令は、種々の段階になされうるが、特段の事情がなければ手続きの終了時に纏めてなされる(同オーダールール8)。
2.2 2つのベーシス
タクスゼーションにおいてコストの総額は、ベーシススケールの二つの観点から決定される。
このベーシスには、二つの種類がある。つまり標準ベーシスと賠償ベーシス(インデムニティ・ベーシス)の二つである。
標準ベーシスは、「合理的にかかったすべての費用の観点からみて合理的な額」と定義され、その合理性について疑いがあれば支払う当事者に有利に考えられるものである。是に対し賠償ベーシスは、「不合理な額や不合理に引き起こされたものでないかぎり全てのコスト」と定義され、その合理性についての疑いは、受け取る側に有利に解決される。(二つのベーシスは、合理性についての証明責任が異なっている。従って、合理性についての疑いのないがぎり二つのベーシスは、違いをおこさない)
「合理性」についての疑いを引き起こす場合として、
そして、裁判所が特段の定めをしない場合には、標準ベーシスによって支払われる(最高法院規則オーダー62ルール12) 。
一方、どのような仕事(例えば、手紙作成、バリスターへの指示書作成)に対しどの程度の額がコストとして支払われるか、がスケールの問題である。これについては規則に定めがある。高等法院では、一つの定めしかなく、また、金額については定めがないので、具体的な額はタクシング・オフィサーの裁量によることになる。これに対してカウンティ・コートでは、四つのスケールによってコストが計算される。
3 訴訟費用敗訴者負担制度と和解促進策
3.1 訴訟費用敗訴者負担制度の経済学的分析
訴訟費用敗訴者負担制度は、「イギリスの裁判所は、常に、当事者にたいして訴訟を最後まで続けるより早く和解で解決することを奨励する」( リチャード・プレイル前掲四八頁)といわれているし、また経済学的に分析したときに、「『訴訟費用敗訴者負担』というイギリス流のルールの方が、『訴訟費用自己負担』であるアメリカ流のルールよりもトライアルにまで至る割合が小さくなるという意見がある」( ロバート・クーター、トーマス・ユーレン、太田訳「法と経済学」三七二頁)とか、言われることとなる。とくに、経済学的には、権利を有するものが、訴訟を提起しやすくなり、また、勝訴できないような事件を抑制することでより望ましいといわれることがある。3.2 和解促進のための積極的制度
英国の訴訟手続きでは、むしろ、このような原理的なメリットに加えて、コスト負担手続きを積極的に和解促進策として利用している点に特徴があるようにおもえる。具体的には、
ペイメント・イントウ・コート (供託)
最高法院規則オーダー22ルール1では、「貸金請求訴訟若しくは損害賠償訴訟においては、被告は、何時でも原告の要求する金員に関し請求を満足させるため金員を供託することができる( 以下略) 」と定めている。そして、この供託の事実およびその額は、コストの算定の上で裁判所が考慮にいれなくてはならないとされている( 同オーダールール9(b))。これが、どのように具体的に訴訟促進効果をもつか、という点について具体例をあげると、例えば、100ポンドの損害賠償請求訴訟中に、被告が30ポンドの供託をしたにもかかわらず、原告が、実際の損害額は、80ポンドをくだらないはずだとして、その金員を受け取らず、トライアルまでいったとする。その結果、裁判官が、30ポンドの損害しかなかったと判断したら、結局、供託以降の被告のコストは( 勝訴者である) 原告が支払わなくてはならないことになる。結局、かかる供託がなされると原告はその訴訟の行く末について真剣に検討しなくてはならず、訴訟の結果について不確かであれば、かかる金員を受領して和解しようという誘因になると言えよう。
カルダーバンクレター
貸金請求訴訟若しくは損害賠償訴訟以外において、当事者は、和解の申込みをなすことができ、裁判所は、上と同様に申込み日以降についてのコストを和解拒絶者の負担とすることができる。なお、この和解の申込みは、開示手続きとの関係でコストの算定までは非開示書類としてなされる。その申込みには、「コストに関する場合以外にはウイッズアウト・プレジャディス」という文言が記載されるのが一般であり、また、かかる和解申し入れの手紙は、そのリーディングケースとなった事件の名をとってカルダーバンクレターと呼ばれる。現在では、最高法院規則オーダー22ルール14に制定されている。
第2 英国の訴訟改革におけるコストをめぐる議論
現在、英国の訴訟改革については、非常に詳細なフォローがなされている。そして、それらは、主としてWoolf報告およびその前後の改革の作業をフォローするものであるが、コストの問題点については、従来から非常な問題点であるとして指摘されていたところである。1989年に出された「民事司法報告」は、「主たる非効率と改革へのプログラム」について報告をし、提言を行っている。この中で報告委員会は、民事司法における非効率として遅延、費用、複雑さ、司法へのアクセスの4点を挙げている。このうち、費用についての報告については、筆者が、別稿でふれたところである。この点の詳細については、別稿を参照ねがいたいが、この「民事司法報告」の段階において、すでに、
2.2.2. 事件の種類とコスト
Type of case | |||||||
Amount of costs | Bankruptcy, Companies Court & Partnership N=61 |
Wills & Chancery, Other N=72 |
Official Referee, Breach of Contract, Libel & QB Other N=238 |
Breach of Copyright, Injunction/ Declaration N=32 |
Medical Negligence N=43 |
All Personal Injury N=181 |
Commercial N=46 |
Average costs allowed /B> |
14,792 | 15,860 | 25,786 | 25,031 | 38,252 | 20,413 | 29,418 |
Lowest costs allowed /B> |
3,439 | 2,417 | 2,515 | 2,317 | 5,369 | 2,673 | 4,904 |
Highest costs allowed /B> |
67,236 | 76,287 | 327,519 | 176,573 | 159,470 | 144,937 | 121,865 |
Type of case | |||||||
Bankruptcy, Companies Court & Partnership N=61 |
Wills & Chancery, Other N=72 |
Official Referee, Breach of Contract, Libel & QB Other N=238 |
Breach of Copyright, Injunction/ Declaration N=32 |
Medical Negligence N=43 |
All Personal Injury N=181 |
Commercial N=46 |
|
% | % | % | % | % | % | % | |
<=10,000</B> | 51 | 49 | 33 | 28 | 9 | 33 | 17 |
>10,000 & <=20,000</B> |
34 | 26 | 29 | 28 | 37 | 38 | 26 |
>20,000 & >=30,000 |
3 | 7 | 14 | 16 | 14 | 11 | 24 |
>=30,000 & <=40,000</B> |
3 | 13 | 5 | 19 | 7 | 7 | 15 |
>=40,000 & <=50,000</B> |
5 | 3 | 7 | 0 | 9 | 4 | 4 |
>=50,000 | 3 | 3 | 12 | 9 | 23 | 7 | 13 |
Total | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
この幅をあらわすのが次の表である。
Value of claim /TH> | |||||||
<=12,500<BR>N=75 | >12,500 <=25,000<BR>N=75 |
>5,000 <=0,000<BR>N=85 |
>0,000 <=00,000<BR>N=80 |
>00,000 <=50,000<BR>N=80 |
>50,000 N=63 |
No value given N=226 |
|
Mean costs allowed /B> |
12,044 | 12,877 | 17,760 | 23,760 | 31,533 | 58,434 | 19,104 |
Lowest costs allowed /B> |
2,832 | 2,673 | 4,087 | 4,667 | 2,515 | 3,911 | 2,317 |
Higest costs allowed /B> |
69,295 | 66,216 | 78,446 | 121,545 | 96,233 | 327,519 | 176,573 |
Value of claim /B> |
コストと請求の価格について詳細に見ていくと、もっとも請求金額の少ない事件においては、半分は、£10,000以下のコストで住んでいる。これに対して、請求金額がもっとも高いケースにおいては、たった14%にすぎない。全体では、41%が、£10,000以下である。詳細は、次の表を参照されたい。
Value of claim | |||||||
<=2,500<BR>N=75 | >2,500 <=5,000<BR>N=75 |
>5,000 <=0,000<BR>N=85 |
>0,000 <=00,000<BR>N=80 |
>00,000 <=50,000<BR>N=80 |
>50,000 N=63 |
No value given N=226 |
|
% | % | % | % | % | % | % | |
<=0,000</B> | 51 | 48 | 31 | 22 | 12 | 14 | 41 |
>0,000 & <=0,000</B> |
41 | 33 | 39 | 37 | 34 | 13 | 29 |
>0,000 & >=0,000 |
4 | 16 | 19 | 15 | 12 | 11 | 11 |
>0,000 & <=0,000</B> |
1 | 2 | 3 | 11 | 10 | 11 | 10 |
>0,000 & <=0,000</B> |
1 | - | 6 | 5 | 11 | 9 | 4 |
>0,000 | 1 | 2 | 2 | 9 | 20 | 41 | 5 |
Total | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
Value of claim /B> |
16.平均的なコストを請求金額との関係で分析したのは次の表ということになる。
Costs allowed as a percentage of value of claim | Number of cases in sample | % | Cumulative |
Costs = less than 5% of value of claim | 34 | 8 | 8 |
Costs = 5% to under 10% of value of claim | 40 | 9 | 17 |
Costs = 10% to under 20% of value of claim | 85 | 19 | 36 |
Costs = 20% to under 30% of value of claim | 51 | 11 | 47 |
Costs = 30% to under 40% of value of claim | 52 | 12 | 59 |
Costs = 40% to under 50% of value of claim | 40 | 9 | 68 |
Costs = 50% to under 60% of value of claim | 22 | 5 | 73 |
Costs = 60% to under 70% of value of claim | 15 | 3 | 76 |
Costs = 70% to under 80% of value of claim | 12 | 3 | 79 |
Costs = 80% to under 90% of value of claim | 14 | 3 | 82 |
Costs = 90% to under 100% of value of claim | 8 | 2 | 84 |
Costs = 100% to under 150% of value of claim | 26 | 6 | 90 |
Costs = 150% to under 200% of value of claim | 16 | 4 | 94 |
Costs = 200% to under 300% of value of claim | 14 | 3 | 97 |
Costs = 300% to under 500% of value of claim | 10 | 2 | 99 |
Costs = 500% or more of value of claim | 8 | 1 | 100 |
447 | 100 | 100 | |
Costs allowed as a percentage of value of claim |
この分析の結果、サンプルの半分については、請求金額の30パーセントを超えないということが明らかになった。もっとも、3分の1は、請求金額の半分を超えている。 もっとも、これは、タキシングされた額であり、実際の額は、これを超える。16パーセントの請求書は、請求金額の100パーセントを超えるし、6パーセントは、200パーセントを超える。
Case Weight | Value of claim /B> | Costs allowed /B> | Costs as % of value |
C | 2,000 | 69,295 | 3,464 |
D | 1,000 | 26,398 | 2,639 |
E | 500 | 6,280 | 1,256 |
D | 1,000 | 12,198 | 1,219 |
E | 1,750 | 11,287 | 644 |
C | 2,000 | 12,462 | 623 |
C | 3,000 | 17,584 | 586 |
E | 2,000 | 10,417 | 520 |
E | 3,000 | 12,841 | 428 |
E | 2,000 | 7,726 | 386 |
E | 2,439 | 9,261 | 380 |
E | 3,500 | 13,224 | 378 |
C | 9,000 | 33,937 | 377 |
D | 5,000 | 18,428 | 368 |
D | 2,500 | 8,794 | 351 |
D | 12,500 | 42,006 | 336 |
C | 4,800 | 16,135 | 336 |
E | 1,500 | 4,765 | 317 |
E | 4,500 | 13,132 | 291 |
E | 2,500 | 6,919 | 277 |
B | 25,000 | 66,216 | 264 |
D | 5,000 | 12,954 | 259 |
D | 7,000 | 16,633 | 237 |
E | 2,500 | 5,685 | 227 |
E | 4,000 | 8,882 | 222 |
D | 10,000 | 22,139 | 221 |
E | 3,000 | 6,284 | 209 |
B | 37,500 | 78,446 | 209 |
C | 13,000 | 27,034 | 207 |
E | 9,000 | 18,408 | 204 |
つぎに、「Why high costs are a problem」において、このコストの位置づけについて議論がなされる。高いコストは、それだけでは、問題ではない。しかしながら、不必要なコストは、認容できないものである。経済的に弱い訴訟当事者の司法へのアクセスを維持するという目的からすれば、高いコストは、その目的と一致しないものになるのである。
また、「The client's right to information
as to costs」という項目では、法律家としてのレベルを維持し、法律制度のインテグリティを維持するための市場へのアクセスの規制および規制が、高い報酬の大きな要素となっているとしている。そこでは透明性が確保されるべきであるとされ、裁判所における事件管理において、コストの情報が提供され、当事者にも低供さなくてはならないとされている。
「Agreements as to costs」という項目においては、各段階毎の費用ないしは、固定費用が示唆されているのである。
これらの考察のもとに少額訴訟におけるコスト負担なしのルールが提案されているのである。
ウールフ最終報告書において、コストの問題についてのフィールドスタディは、その添付資料3(Annex III Survey of Litigation Costs: Summary of Main Findings)において、詳細に報告されており、また、具体的な数値の表も提示されている。これらの数値は、中間報告書が、673のケースについて、分析したものであったが、これに対して、2184のケースについて分析されている。
事件の傾向(Characteristics of sample)について、資料は、2184の事件を10のタイプに分け、訴訟物の価額、ケースのウエイト、リーガル・エイド、事件のステージ、解決の方法、当事者の別などから分析されている。
平均コスト(Average costs)について、
42パーセントが、1万ポンド以下であり、28パーセントが、1万から2万ポンドである。これらのコストと事件の関係を表にしたのが下の表である。オフィシャルレフェリーと、商事事件が、もっともコストが高く、judicial review 事件がもっとも、コストがかからない。
Case type
|
Costs allowed /B> | ||||||
<=10,000</B> |
>10,000 & <=20,000</B> |
>20,000 & <=30,000</B> |
>30,000 & <=40,000</B> |
>40,000 & <=50,000</B> |
>50,000 |
Total |
|
Medical Negligence (N=206) | 25% | 35% | 11% | 9% | 4% | 16% | 100% |
Personal Injury (N=323) | 38% | 36% | 10% | 5% | 3% | 7% | 100% |
Professional Negligence (N=205) | 32% | 28% | 10% | 9% | 5% | 16% | 100% |
Official Referees' (N=206) | 24% | 28% | 11% | 13% | 6% | 17% | 100% |
Breach of Contract (N=214) | 43% | 27% | 12% | 6% | 3% | 9% | 100% |
Judicial Review (N=206) | 68% | 20% | 5% | 4% | 1% | 1% | 100% |
Chancery (N=204) | 46% | 29% | 11% | 6% | 3% | 5% | 100% |
Queen's Bench 'other' (N=205) | 58% | 23% | 8% | 2% | 6% | 3% | 100% |
Commercial (N=106) | 29% | 21% | 15% | 9% | 3% | 23% | 100% |
Commercial (no value) (N=102) | 36% | 22% | 15% | 9% | 8% | 11% | 100% |
Bankruptcy/Companies Court (N=77) | 65% | 17% | 6% | 5% | 3% | 4% | 100% |
Bankruptcy/Companies Court (no value) (N=130) | 59% | 29% | 4% | 5% | 1% | 2% | 100% |
All cases (N=2184) | 42% | 28% | 10% | 7% | 4% | 10% | 100% |
「Costs and case weight」
また、英国において事件の大変さによって、クラス分けをする際に、ヘビーな事件については、平均コストが、よりかかることが注目される。そして、この事件の、ヘビーさは、上述の事件の分類とも関連する。:
Table 3: Median costs allowed by claim value
次の表4は、請求金額との割合について見たものである。もっとも、少額の事件については、100パーセントを超えており、請求金額が低ければ低いほど、この割合が高くなることになる。
.£12,500 から£25,000の間では、人心被害事件の41パーセントから96パーセントのオフィシャルレフェリーまで、分かれることになる。
Table 4: Costs as a percentage of claim value (costs/value x 100)
Costs as a % of claim value (median) | Claim value /B> | |||||
<=12,500<BR>N=361 |
>12,500 - <=25,000<BR>N=287 |
>25,000 - <=50,000<BR>N=355 |
>50,000 - <=100,000<BR>N=303 |
>100,000 - <=250,000<BR>N=248 |
>250,000 N=192 |
|
Medical Negligence | 137% | 57% | 46% | 33% | 21% | 12% |
Personal Injury | 135% | 41% | 28% | 22% | 13% | 11% |
Professional Negligence | 135% | 54% | 43% | 41% | 27% | 15% |
Official Referees' | 158% | 96% | 48% | 53% | 31% | 19% |
Breach of Contract | 138% | 46% | 32% | 21% | 12% | 5% |
Chancery | 119% | 62% | 40% | 17% | 8% | 2% |
Queen's Bench 'other' | 154% | 44% | 33% | 14% | 5% | 3% |
Commercial | 174% | 54% | 27% | 38% | 16% | 2% |
Bankruptcy/Companies Court | 115% | 39% | 18% | 15% | 10% | 1% |
また、この報告では、事件の長さについても報告されている。(単位は月)
Case type | Mean | Median | Max | Min | Number of case in category |
Whole sample | 34 | 29 | 214 | 0 | 2184 |
Medical Negligence | 65 | 61 | 214 | 26 | 206 |
Personal Injury | 56 | 54 | 117 | 1 | 323 |
Professional Negligence | 41 | 35 | 118 | 7 | 205 |
Official Referees' | 34 | 30 | 116 | 1 | 206 |
Chancery | 32 | 27 | 152 | 0 | 204 |
Breach of Contract | 29 | 25 | 114 | 1 | 214 |
Queen's Bench 'other' | 28 | 21 | 128 | 2 | 205 |
Commercial | 25 | 20 | 100 | 0 | 106 |
Commercial (no value) | 16 | 7 | 93 | 0 | 102 |
Bank/Company (no value) | 15 | 9 | 118 | 0 | 130 |
Bankruptcy and Company | 13 | 7 | 118 | 0 | 77 |
Judicial Review | 12 | 11 | 36 | 0 | 206 |
テーブル2
Median
costs* Number and % of cases in category
|
Assessment of weight of case | ||||||||||||||||
A (Heaviest) |
B | C | D | E (Lightest) |
Total | ||||||||||||
/B> | N | % | /B> | N | % | /B> | N | % | /B> | N | % | /B> | N | % | N | % | |
Medical Negligence | 92,472 | (21) | 10 | 56,746 | (29) | 14 | 24,982 | (49) | 24 | 12,418 | (75) | 36 | 6,139 | (32) | 16 | 206 | 100 |
Personal Injury | 91,720 | (3) | 1 | 54,962 | (29) | 9 | 21,429 | (68) | 21 | 12,879 | (104) | 32 | 7,264 | (119) | 37 | 323 | 100 |
Professional Negligence | 150,556 | (9) | 4 | 70,408 | (24) | 12 | 31,974 | (46) | 22 | 12,845 | (76) | 37 | 6,096 | (50) | 24 | 205 | 100 |
Official Referees' | 133,805 | (7) | 3 | 88,220 | (20) | 10 | 35,384 | (57) | 28 | 15,382 | (69) | 33 | 7,462 | (53) | 26 | 206 | 100 |
Breach of Contract | 245,208 | (2) | 1 | 89,484 | (15) | 7 | 33,418 | (34) | 16 | 14,626 | (72) | 34 | 6,471 | (91) | 43 | 214 | 100 |
Judicial Review | 29,207 | (3) | 1 | 27,782 | (11) | 5 | 15,234 | (42) | 20 | 7,807 | (55) | 27 | 6,132 | (95) | 46 | 206 | 100 |
Chancery | 199,222 | (3) | 1 | 122,061 | (2) | 1 | 31,779 | (33) | 16 | 12,374 | (84) | 41 | 6,329 | (82) | 41 | 204 | 100 |
Queen's Bench 'other' | 231,395 | (5) | 2 | 42,546 | (4) | 2 | 27,761 | (27) | 13 | 11,382 | (68) | 32 | 6,208 | (101) | 50 | 205 | 100 |
Commercial | 135,521 | (12) | 11 | 45,321 | (17) | 16 | 21,697 | (32) | 30 | 13,606 | (23) | 22 | 6,494 | (22) | 21 | 106 | 100 |
Commercial (no value) | 95,911 | (5) | 5 | 39,997 | (10) | 10 | 27,690 | (33) | 32 | 10,153 | (35) | 34 | 5,774 | (19) | 19 | 102 | 100 |
Bankruptcy/Comp Ct | 170,129 | (1) | 1 | 44,795 | (3) | 4 | 22,168 | (15) | 19 | 9,306 | (28) | 36 | 5,559 | (30) | 39 | 77 | 100 |
Bankruptcy/Comp (no val) | 42,280 | (4) | 3 | 54,700 | (1) | 1 | 18,110 | (18) | 14 | 10,446 | (50) | 38 | 6,076 | (57) | 44 | 130 | 100 |
Whole Sample | 107,089 | (75) | 3 | 54,962 | (165) | 7 | 27,277 | (454) | 21 | 12,094 | (739) | 34 | 6,469 | (751) | 35 | 2,184 | 100 |
表 事件のコストとメディアン・コスト
Median
costs* Number and % of cases in category
|
Claim value /B> | |||||||||||||||||||
<=12,500<BR>N=361 |
>12,500
- <=25,000<BR>N=287 |
>25,000
- <=50,000<BR>N=355 |
>50,000
- <=100,000<BR>N=303 |
>100,000
- <=250,000<BR>N=248 |
<250,000<BR>N=192 |
Total | ||||||||||||||
/B> | N | % | /B> | N | % | /B> | N | % | /B> | N | % | /B> | N | % | /B> | N | % | N | % | |
Med Negligence | 10,482 | 56 | 27 | 12,464 | 30 | 15 | 15,655 | 44 | 21 | 24,982 | 27 | 13 | 35,936 | 19 | 9 | 76,011 | 30 | 15 | 206 | 100 |
Personal Injury | 7,099 | 45 | 14 | 8,006 | 47 | 14 | 10,474 | 71 | 22 | 14,881 | 76 | 23 | 18,688 | 66 | 20 | 64,435 | 18 | 6 | 323 | 100 |
Professional Neg | 9,440 | 42 | 20 | 9,688 | 42 | 20 | 13,250 | 41 | 20 | 27,524 | 37 | 18 | 34,208 | 23 | 11 | 78,904 | 20 | 10 | 205 | 100 |
Official Ref | 12,245 | 51 | 25 | 19,696 | 38 | 18 | 17,272 | 41 | 20 | 34,355 | 25 | 12 | 43,865 | 36 | 17 | 133,805 | 15 | 7 | 206 | 100 |
Breach of Cont | 8,882 | 43 | 20 | 7,774 | 30 | 14 | 13,405 | 57 | 27 | 14,993 | 47 | 22 | 14,632 | 19 | 9 | 31,610 | 18 | 8 | 214 | 100 |
Chancery | 7,316 | 49 | 24 | 11,150 | 33 | 16 | 13,434 | 35 | 17 | 10,757 | 35 | 17 | 9,421 | 27 | 13 | 11,906 | 25 | 12 | 204 | 100 |
Queen's Bench | 6,693 | 51 | 25 | 7,751 | 43 | 21 | 10,677 | 43 | 21 | 9,912 | 21 | 10 | 8,876 | 24 | 12 | 16,199 | 23 | 11 | 205 | 100 |
Commercial | 6,187 | 10 | 9 | 10,907 | 10 | 9 | 13,522 | 13 | 12 | 20,262 | 15 | 14 | 27,537 | 26 | 24 | 26,503 | 32 | 30 | 106 | 100 |
Bankruptcy/Comp | 6,785 | 14 | 18 | 7,050 | 14 | 18 | 5,748 | 10 | 13 | 9,015 | 20 | 26 | 16,592 | 8 | 10 | 13,042 | 11 | 14 | 77 | 100 |
第4 おわりに
詳細に英国における訴訟コストをめぐるデータを見てきた。詳細に見てきたのは、このような分析が我が国において欠落していると考えるからである。一般の弁護士の感覚からすれば、何10時間かけて、真実が明らかになるために努力をしているのに、裁判所が、低額な損害賠償額しかみとめず、裁判所は、裁判所を利用する当事者において裁判にコストをかけていることを本当に認識しているのであろうかと考えることはよくあるであろう。
司法改革において、訴訟費用の敗訴者負担制度の導入が議論されることは一定の進歩と評すべきものと思われるが、我が国では、上記のような調査は、いまだおこなわれていないものと考えられるのである。そのための参考資料として、この点を明らかにすることには一定の意義があるのであろう。